人口減少や高齢化が進む中、空き家や空き店舗、老朽建物が増加しています。このような不動産ストックを貴

重な地域資源としてとらえ、再生・活用していくかが重要となってきます。そこで、国土交通省が地域の不動産関

連業者等が不動産ストックビジネスに取り組むに当たって不動産ストックビジネスの考え方と不動産業者・賃貸

住宅関連業者・リノベーション事業者・金融融機関などの11の先進事例から学ぶ取組のポイントを発表しまし

た。

国が提示する不動産ストックビジネスの取組として

*高齢化の進展に対応した高齢者の見守りサービス
*子育て世代が暮らしやすいまちづくりのための子育て支援サービス
*健康増進のまちづくりのための居住・生活空間の形成
*観光交流を活発化する地域ビジネスの活動拠点づくり
*シェアハウスなどの新しいライフスタイルの提供 

など、社会的問題に対応した新しいサービスや価値の創造が提示されています。これらのビジネスには①需要

の掘り起こし②人材ネットワークの構築③資金調達手法の工夫が必要となってきます。そこで①~③までの各

項目を総合して活躍する事業者が先進事例として取り上げられています。


事例1:丸順不動産(株) 長屋・古家のプロデュース事業

需要の掘り起こし:長屋・古家を町の財産として価値創造 
人材ネットワークの構築:不動産会社がオーナーとテナントをマッチング

「家賃は安くても良い人に貸したい」というニーズを持つオーナーを対象に、人を引き付ける魅力のある人、情報

発信力のある人、質の高い仕事や商売をしている人などをテナントとして誘致し、物件を再生してもらうことで、

「やる気はあるが事業資金が潤沢でないテナント」の需要と、空き家問題を解決しています。


事例2:三好不動産(株) 地元密着型の多角的コンサルティング

需要の掘り起こし:地元住民の信頼と密なコミュニケーションによる「不動産+α」 
人材ネットワークの構築:不動産会社がオーナーとテナントをマッチング 自治体との連携による支援体制の構築

長年地元で不動産業を経験していることを武器に、地元住民との信頼関係を構築し、地域の問題・困りごとを細

やかに把握した上で新たなニーズのあぶり出し不動産の「管理」「仲介」だけでなく、不動産業を超えた地域への

視点から、総合的なコンサルティングを実施しています。

例:高齢者等への空き家サポートサービス・・・入院などによる高齢者の方の空き家を管理その他にも転勤や相続などの空き家物件のサポート
  外国人留学生への賃貸斡旋の仕組み作り・・・外国人スタッフを採用し、入居後の生活に至るまで支援
  介護賃貸住宅NPOセンターを通じた活動・・・NPOセンターと空き家賃貸住宅の連携


事例3:メゾン青樹 ネットワークで作る住まいの場

需要の掘り起こし:枠にとらわれない発想と行動力ですまいをデザインしたい人へ場づくり提供

人材ネットワークの構築:入居者を物件ファンとしコミットメントを引き出す 自治体・入居者・地域との連携構築

資金調達手法の工夫:クラウドファンディングの活用

空き部屋が目立つ賃貸に対して、壁紙などカスタマイズが可能なカスタマイズ賃貸サービス、間取りプランニン

グが可能なオーダーメイド賃貸サービスなどの提供。賃貸事業にオーナーと入居者が「共同事業者」になるとい

う視点を発信し、様々な場作りを提供しています。


事例4:(株)スペースRデザイン設立 総合不動産コンサル

需要の掘り起こし:自社ビル再生の経験からワンストップでオーナーの悩みを解決する不動産総合コンサルティング
人材ネットワークの構築:社会課題解決型ビジネスとしてまちづくり手法を他県・他地域へ展開

賃貸ビルやマンションのオーナーに①経営コンサル②マーケティング企画③設計デザイン④工事監理⑤プロモ

ーション⑥ブランディング・仲介⑦コミュニティ型ビル管理⑧ビンテージビル文化啓発をワンストップで総合的に

提供。オーナーは各ステップの担当企業を探す手間が省けます。


事例5:(株)ブルースタジオ バリューコンサルティング

需要の掘り起こし:バリューコンサルティングをベースに建築から客付けまで提案
人材ネットワークの構築:民間・自治体との連携

空き家をかかえるオーナーに向けてリノベーションによる新たな価値の創造をコンサルティングを用いて提供し

ています。建築事務所・不動産会社としての従来の業務である原状回復を行うだけに留まらず、マーケティン

グ、各種調査など総合的な不動産コンサルティングを用いて、コミュニティ生成までも成功しています。

不動産業界として空き家増加という社会問題を解決する様々な手段は、将来の日本の在り方を決めるでしょう。

事例の続きは次回のブログに続きます・・・

(文責-山口晃平)