不動産ストックビジネスを取り組むに当たって ①需要の掘り起こし ②人材ネッ

トワークの構築 ③資金調達の工夫が必要となります。この3点を含めた企業の取

り組みを国土交通省の示した事例をもとに前回のブログで紹介しましたが、その

事例の続きとなります。


 


事例6:(株)リビタ 新たな日常の場作りとしてのリノベ


○需要の掘り起こし:社員寮、独身寮を新たな日常の場としてリノベーション及びコミュニティを提供
 
○人材ネットワークの構築:イベント・情報発信で入居者や周辺地域とつながる


分譲マンションの一棟丸ごとのリノベーションや団地・老朽化した独身寮を再生し

たシェア型賃貸住宅を展開。また地域の老朽ビルを再生した宿泊複合施設等、地域

活性化も取り組む。リノベーションだけに留まらず、共有部分の運営や管理に入居

者を巻き込むことで、入居者同士のコミュニケーションの場を提供。また、入居者

と地域・他世代との交流も促進し、入居者の確保・退居率の減少をコミュニティー

の場をプロデュースすることで減少につなげています。





事例7:京町家等継承ネット及びその会員 京町家保全・活用の取組


〇需要の掘り起こし:京町家の認識を深め、適切に継承されることを目的に、会員それぞれが活動を工夫

〇人材ネットワークの構築:自治体・民間・学識関係者が枠を超えてネットワークを 構築することで、京町家の継承に関する悩み解消を促進

〇資金調達の工夫:会員の金融機関が京町家保全のため商品を提供


事務局はクラウドファンディングによる改修の支援を開始京町というブランドを守り

継承していくために、「金融機関」「不動産業」「建設業」「専門家」「市民団体」

「行政等」「経済界」がそれぞれ連携を取り、京町家等を継承していくための啓蒙活

動や空き家相談会の開催、「DIY」や「大型町家継承プロジェクト」の支援システムの

研究・開発・会員及び専門家を対象とした研修など、それぞれの専門家や市民団体が

連携することでより一層強固な京町ブランドの構築とネットワークの連携が可能とな

ります。





事例8:世田谷トラストまちづくり 活用支援PFデザイン

○需要の掘り起こし:空間を持つオーナーとの思いと多様な人材を掛け合わせニーズをマッチング。空き家などの地域貢献活用を推進

○人材ネットワークの構築:専門機関・専門家と協定をむすぶことで包括的な空き家など地域貢献活用の推進をサポート


需要の掘り起こしとして地域共生まちづくを目的とし、営利を目的としない地域の公益

的な街づくりの場として空き家提供・マッチングする。主に、子どもたちの集まる居

場所・子育て支援する場・高齢者や障害者の暮らしを支える場・地域の人々の交流を

広げる場として使用されます。また、空き家を持つオーナーの掘り起こしも行ってお

り、オーナーが持つ空間や考え・思いをヒアリングし、オーナーが理想とする空き家

の活用を提供します。





事例9:アーツ千代田 3331 旧校舎を新しいアートの拠点に

○需要の掘り起こし:文化芸術活動に焦点をあて、旧校舎を利用したアートに関わるイベントやスペースを設置

○人材ネットワークの構築:アーツ千代田3331をアートだけでない、新たなまちづくりの「場」として展開

閉校となった中学校をアートの場として活用することで、芸術に関心のあるさまざまな

人々の交流の場となっています。





事例10:米子信用金庫 イニシアチブによるサ高住整備

○需要の掘り起こし:米子信用金庫の「エリアマーケティング」による丁寧な状況把握→地域需要を踏まえた必要な機能を提供

○資金調達手法の工夫:不動産証券化を米子信用金庫がイニシアチブを持ってアレンジ


人口動態調査・仮説検証及び地域へのアンケート等から高齢者の住まいの需要を見出

だし、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の整備を実施。





事例11:ミュージックセキュリティーズ(株) あまみ温泉 南天苑ファンド


○資金調達手法の工夫:改修費にクラウドファンディングを利用


宣伝効果と「応援したい」投資家へ訴求し、潜在顧客の開拓に利用ほぼ稼働していな

い離れを露天風呂付き客室に改装する費用をクラウドファンディングで募集。





11個の事例はいかかでしたでしょうか。空き家の活用は一概に専門業者からの提案ではなく、地域の方々から

の提案や想い、またオーナーが理想とする空間作りを業者側に提供してもらうことも大切であるということ、つま

り空き家の活用は業者だけでなく複数の思いが重なり合い実現するものだ と感じます。まちづくりは地域の方々

と協力し、構築しなければなりません。業者はオーナーだけでなく地域の声に耳を傾け、また、地域の方々も業

者に対し、あれやこれやと提案や文句を言うことで、オーナー・地域の双方が理想とするイメージを構築し、それ

らを具現化し次世代へとつないでいくことが、我々不動産業者にとっての使命なのかもしれません。