現在の日本の中古住宅における流通シェアは約10%で、アメリカ80%、イギリス88%、フランス64%と世界各国に比べ非常に低い水準となっています。


背景として、中古戸建住宅における資産価値の減少スピードの速さ・また地震国である日本において構造の耐久性能やアフターサービス・修繕補修などの履歴情報の有無などを不安視する消費者が多い為、中古住宅の流通が進まないのが現状です。


しかしながら、不動産流通経営協会の調査によると、住宅購入にあたって既存住宅も購入の候補に入れて住宅を探した割合は93.5%と年々上昇しています。 また、既存住宅を購入した理由に「希望エリアの物件だったから」「手頃な価格だったから」と消費者にとって場所と価格さえ良ければ購入する可能性があることがわかります。


上記の内で新築購入者の意見によると「既存住宅では耐久品や品質に不安があるから」「新築住宅に比べて耐震性に不安があるから」との理由で新築を購入した消費者が20%もいることが分かっています。


このような現状から国交省は2016年より中古住宅の売買契約前に行う重要事項説明時にインスペクション(建物状況調査)の結果を義務付けるという内容の法案を閣議決定しました。


主に、宅地建物取引業者は以下のような事項を義務付けられます。

①媒介契約時に宅地建物取引業者がインスペクション業者の斡旋の可否を示し、意向に応じてインスペクター(建物状況の調査員)を斡旋する。

②買主等に対してインスペクション(建物状況調査)の結果の概要等を重要事項として説明。

③売買等の契約成立時に建物の状況について双方が確認した事項を記載した書面の交付。

の3点が義務付けられます。

インスペクター(建物状況の調査員)の費用は5万~10万円で、依頼する方が費用を負担します。また、インスペクション(建物状況調査)の結果を利用して既存住宅売買瑕疵保険への加入に利用することができます。


このように中古住宅の専門家による品質保証が購入意欲をさらに上げることが可能となります。そのためにも、現在住んでいる住宅を日頃からメンテナンスすることで、スムーズに売却できたり、賃貸したりすることが可能となるでしょう。