2015年に施工された「空き家等対策特別措置法(以下「空家法」という。)」から約1年4カ月が経ちました。この制度は地域にとって悪影響を及ぼすような項目を満たした空き家を「特定空き家」として指定するもので、指定されてしまうと固定資産税の優遇措置が適用されなくなったり、自治体からの指導・助言・勧告・命令や空き家を強制的に撤去できる制度です。


2016年3月31日時点での、空家法に基づく措置の実績は、指導・助言が168自治体で2,895件、勧告が25自治体の57件、命令が3自治体の4件、代執行が1自治体1件となっています。現在、所有者がわかっているケースの代執行は1件にとどまっていますが、所有者がわからない略式代執行(代執行とは別)は8自治体の8件となっています。


ここで問題となるのが代執行に関わる撤去費用です。

実際、「特定空き家」の指定で所有者の税負担を高めたとしても、所有者に支払い能力がなく、撤去費も出せない場合には、そのまま放置される物件も出てきます。最終的に撤去に至りますが、費用を所有者に払ってもらえない場合、費用回収のために敷地の売却を迫ります。しかし、売れたとしてもその土地に抵当権が付いていた場合、自治体に撤去費用の分がまわってくるかはわかりません。よって、公費が投入されますが、所有者がこうした措置が取られるとわかっていると自ら動かず、自治体による措置が取られるまで放置する所有者が出てくるのです。


また相続放棄された空き家の場合もこの撤去費用の問題がでてきます。

相続を放棄された空き家も相続人の管理責任は残ります。その空き家が「特定空き家」に指定された場合、相続人に対して指導・助言・勧告まではできますが、それ以上の措置ができません。そして、撤去の必要が生じた場合、略式代執行として、公費投入となります。この相続放棄の事例は増加が予想されており、ますます公費投入が膨れ上がるでしょう。


空き家の撤去費用は本来所有者が負担するべきもので、この公費投入は納税者全員で負担していることなり公平性を欠く事態となっています。そこで、今後必ず所有者が負担することになるよう、事前に毎年の固定資産税に撤去費用を少しずつ上乗せして徴収していく仕組みも考えられています。仮に所有者が分からなくなった場合でも固定資産税の課税対象から撤去費用を確保でき、自ら撤去する場合は積み立てた撤去費が還付されるような仕組みができれば現状の問題を打破することが可能です。


(文責-山口晃平)