昨今、空き家や中古住宅の流通促進のために様々な制度が導入されています。

「空き家バンク制度」や「空き家に対する補助金・助成金」「中古住宅のリフォームに対する補助金」など空き家・中古住宅の売却・購入に対して優遇措置が導入されつつあります。

その中に、国土交通省が力を入れて取り組んでいる制度に「住宅ファイル制度」があります。

住宅ファイル制度は中古流通市場において買主・売主の阻害要因る点を改善するために取り入れられる制度です。
買主・売主における阻害要因の例は以下の通りです。

【買主】
・住宅の品質、維持管理の状態が不明。   

・価格の妥当性が分からない(建物価格の適正評価)。

・事後的なトラブルの心配。

・住宅ローンが受けれないかもしれない。

【売主】

・住宅ローンの残債より高く売れない(資産価値の急速な下落)


この制度は住宅ファイル報告書と呼ばれる中古住宅の売買に必要な各専門家(宅地建物取引士、建築士、防蟻業者)により調査された報告書(価格調査報告書、重要事項説明書、住宅診断報告書、シロアリ診断報告書)が一つに集約されたファイルで、この資料をもとに不動産鑑定士が住宅価格を調査します。

また、この資料をもとに住宅履歴情報の登録や住宅アフター点検、瑕疵保険への加入、リフォーム工事費の見積もり、リフォーム後の建物評価、リフォームローンなどが決定します。このファイルは売買代金の残金決済と同時に買主に引き渡され、次の取引の際の基本情報として使用され引き継がれます。

中古住宅流通のためには「価格の透明性」を確実なものにしなければ買主は納得しません。そのためにも、中古住宅を隅々まで調査し、価格の妥当性を立証する必要があるでしょう。


文責-山口晃平